「アメとムチ」と「規制と啓発」
『高梁市景観計画(案)重点地区に関する住民(市民)説明会』
(歴史的風致維持向上計画における高梁市景観条例策定に向けての景観計画)に参加して思ったこと (その2)
日本国憲法において、公共の福祉に反しない限り、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利および財産権は保障されているが、景観条例(景観法がその根拠法)はそれらを規制、制限する法令にあたる。しかし、高梁市がこれから作ろうとしている条例には罰則を設ける予定はない。
景観条例を策定することによって、歴史的風致維持向上計画(歴史まちづくり法)が認定された高梁市に有利な補助金(10年間で約10億円。吹屋小学校、旧順正女学校図書館などの歴史的建造物の改修や無電柱化事業などの町並み改修事業、備中松山踊りなどの伝統、伝承文化などの文化事業などに充てる予定)が下りてくる。
《歴史まちづくり法=国土交通省、農林水産省、文部科学省の3省によるはじめての横断的な新たな公共事業》
そしてそれらの事業からもたらされる効果、付加価値が、住民(市民)の満足度にどのようにつながっていくのかを、しっかりと説明していかなければならない。
罰則のない景観条例(規制)と新たな付加価値の創造(啓発)がこの事業のキーワードになる。
「絶対矛盾的自己同一」(京都学派の創始者、西田幾多郎)という言葉がある。西田の哲学においては対立は解消せず、その対立が実は一体であることを実感することによって人は悟りの境地に至るという。
今、私たちを取巻く環境は少子・高齢化、人口減少、景気低迷、財政逼迫など非常に厳しい状況にある。新しい公共性を、これからの未来をどのように描いていくのか。今、何を残し、何を壊すのか。そして何を未来へ繋げていくのか。
しかし、地域の発展を願い、いくら悟りを開こうとしても、皆が悟りを開けるわけではない。それらの問題の本質は根深い。
そのヒントが高梁市の先人である山田方谷のDNAにある。
「過去からの可能性」と「未来への可能性」。それは、螺旋的発展的思考を基底にした「古いもの」と「新しいもの」が融合する「懐かしい未来の創造」である。
そして、この「事業の本質」はまさにここにあると思うのですが、皆さんはどのように思われますか?
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